こんにちは!
今回は「自動車整備士」の人手不足について記事を書きました!
先日はトヨタの高級ブランドであるレクサスが人員不足が原因で不正車検をした事がニュースになり問題になりました…。
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トヨタモビリティ東京社長、レクサス不正車検の背景について「要因は2つある」(レスポンス)
しかし、これはレクサスに限ったことではなく、自動車整備士業界全体に言える問題であります。
自動車整備士が激減していると聞くと、よく言われがちなのが「少子化と若者の車離れ」であり、国土交通省による対策としても若者に興味・関心をもってもらうための対策が2014年頃から行われています。
「少子化と若者の車離れ」も理由の一つではあるのですが、実は本当の理由は別にあります!
僕も数年前までは某自動車ディーラーで自動車整備士の仕事をしていました!
国家一級自動車整備士、2級ガソリン、2級ジーゼルの資格も持っています!
また、休日にはレースを観に行ったり、自分の車でサーキット走行をしたり、アマチュアレースに出場したり、知り合いのチューニングショップにヘルプに行ったりするくらいには車が好きでした!
そんな車好きな人間でも「自動車整備士」という職業に愛想が尽きてしまい、退職した1人です…。
そこで今回は、なぜ自動車整備士が社会的問題になるくらい人手不足になってしまったのか、その本当の理由を解説していきたいと思います!
自動車整備士が人手不足になってしまった本当の理由
自動車整備士が人手不足になった原因
自動車整備士が人手不足になってしまった理由として、国土交通省としては主に以下の3つを挙げています。
- 少子化と若者の車離れ
- 自動車整備士の高齢化
- 待遇の悪さ
これら3つが主な原因とされていて、特に「少子化と若者の車離れ」と「自動車整備士の高齢化」が特に濃厚とされています。
※詳しくはこちらをご覧ください
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国土交通省 自動車整備要員の人材確保・育成について 平成26年4月
「少子化と若者の車離れ」と「自動車整備士の高齢化」は、決して間違いではないのですが、あくまで自動車整備士が人手不足になってしまった原因の一部でしかなく、主原因とは言えません。
実はこれら2つの要因を招いているものがあり、それこそが自動車整備士を人手不足にしてしまった本当の理由と言えるでしょう。
僕が自動車整備士の仕事を退職した理由、それから知人や同級生、上司、先輩、後輩などが辞めていった時の理由、又は辞めたいと思っている理由として多かったのが以下の要因です。
↓↓↓
- 給料が安い
- サービス残業が多い
- いじめ・パワハラ・嫌がらせが多い
- 人間関係が荒れている
- 自分で工具を買わなければならず出費が多い
- 自分の車を維持する余裕がなくなる
- やりがいが無い
- 「車が好き」⇒「車が嫌い」になる
これらの理由が実際に自動車整備士の仕事をしていた人たちのリアルな声であり、現役で自動車整備士の仕事をしている人たちの中でも、同じような不満を抱きながら働いているメカニックも多いと思います。
このリアルな声こそが自動車整備士を不足させてしまった本当の理由と言えるでしょう。
ちなみに「給料が安い」についてですが、単純に初任給だけでなく、長く自動車整備士の仕事をしていても給料が上がる事はほとんどなく、入社1年目の新人とベテランの人達の給料を比べると、あまり変わらないというのは割とよくあることです。
少子化と若者の車離れが人手不足の原因?
国土交通省の調べによると、自動車整備専門学校の学生数が激減(過去10年間で半減)してしまっているとされています。
実際に僕の母校である自動車整備専門学校でも、一学年200人くらいはいましたが、今では半数以下まで減ってしまっている状況のようです。
そのため母校から時々「身内や知人を紹介してくれませんか」的な手紙が、過去の卒業生達を対象に郵送されてくることもあります。
実際に「少子化と若者の車離れ」の影響を受けている感じはあります。
ただ、逆に僕自身が高校生だった頃、自動車整備士の専門学校に通っていた頃、新入社員として仕事をしていた頃の事を振り返ってみると、10~20年ほど前のことにはなりますが、その頃から自動車整備士が人手不足になりつつあり、自動車整備士の高齢化も進んでいました。
僕自身が学生だった頃は「頭文字D」「湾岸ミッドナイト」「グランツーリスモ」などのような漫画・アニメ・ゲームの影響を受けて車に興味を持った若者が割と多かったです!
また、子供の頃には「ミニ四駆」がブームとなり、その事をきっかけに車や物づくりに興味を持った若者も多かったです!
さらには、車とは少しずれますが「ガンダムが好き⇒ガンプラ作りが好き」という所から物づくりに興味を持ち始め、自動車整備士になろうと思ったという同級生もいました!
僕自身が学生だった頃も、少子化問題や若者の車離れは既に始まっていましたが、なんだかんだ車やバイクが好きな若者は割と多くいましたし、数人ではありますが女性もいました!
しかし、そんな車やバイクが好きだった若者がいざ就職すると事態は一変し、ほとんどの人が1年以内に「会社を辞めた」「会社を辞めたい」「車への興味関心が薄れた」という状況に陥りました…。
給料が安すぎて愛車を維持できなくなって手放したという同級生もいました。
理由は先ほども述べました待遇の悪さや人間関係の悪さ、やりがいの無さなどが原因で、新入社員が大量に入社してきても、あまりの待遇の悪さや理不尽さに嫌気がさし、大量に辞めていってしまうのです。
既婚者の方なんかは「こんな業界にいたら家族を養っていけない」と判断し、早々と退職した人もいました。
この「大量に入社してきても大量に辞めてしまう」というメカニズムが、今となって自動車整備士を激減させてしまった主原因と言えます!
また、こういった事が長年続けば、結婚率や出産率が減り、逆に離婚率が増えてしまう要因にもなってしまうため、少子化問題を悪化させてしまうことにも繋がります。
自動車整備士の高齢化について
自動車整備士の整備要員平均年齢ですが「45.0歳」とされており、かなり高いです。
かといって長年、自動車整備士の仕事をしている年配者の方達も決して労働環境に満足しているわけではない人が多く、できることなら辞めたいと思っている人が多かったです。
僕が新入社員として某自動車ディーラーに就職した時の上司や先輩方でも、楽しそうに生き生きと仕事をしている人は、ほとんどおらず
「できることなら辞めたい、でも今さら再就職できない」
「家族や子供がいるから下手に辞められない」
という悩みをかかえてる人ばかりでした。
こういった人が多いと、次に起こる事態が「若者の車離れ」や「自動車整備士の魅力の薄れ」になります。
もし、自動車整備士という仕事に不満を持っている人の子供や身内、知人などが
と言いだしたら
なんてポジティブな事を言うでしょうか?
恐らくはネガティブな事実を伝え、あまりおすすめはしないことでしょう…。
【整備士から製造業に転職したい方へ!一級整備士の体験談とアドバイス!】
自動車整備士から工場・製造業系の仕事に転職したい人のために国家一級整備士が体験談やアドバイスを記事にしました!
国土交通省の自動車整備士の人手不足に対する改善策
国土交通省の対策
さきほども説明しましたが、今まで自動車整備士が人手不足になってしまった現場の生の声に対して、国土交通省による自動車整備士が人手不足になった理由の主原因が「若者の車離れ」と「自動車整備士の高齢化」とされており、それに対しての取り組みとしては、ザックリ言うと以下の通りです。
- 戦略的なリクルート
- 事業・資格の魅力の向上
- 労働環境の改善
- 分業組み合わせの促進
- 女性の活用
- 外国人の活用
引用元:国土交通省・自動車整備要員の人材確保・育成について 平成26年4月
国土交通省の対策方針を見る限りですと、全体的に新規の人材を増やす事ばかりに着目点が行き過ぎてしまっている感じがします。
ですが、いくら新規の人財を増やしたところで、昔のように「大量に入社してきても大量に辞めてしまう」というメカニズムを改善しないことには根本的な改善にはなりません!
一応は「労働環境の改善」という項目も書かれていますが漠然とした内容しか書かれておらず、というよりも労働環境の実態を、まるで把握できていないような感じがします。
以下の内容が「労働環境の改善」の具体的な案になります。
引用元:国土交通省・自動車整備要員の人材確保・育成について 平成26年4月
これを見る限りですと、まだまだ模索中である感じであり、そのうち労働環境も良くなるのかなという気もします。
しかし、この内容は平成26年4月(2014年)の物であり、今は令和3年の2021年…。
7年ほどの月日が経ったわけでありますが、一向に自動車整備士の待遇が良くなったという話は聞きませんし、今でも現役で自動車整備士をしている知人や友人からも、そういった事例はなく、むしろ昔よりも悪くなったという所もあるのが実態です。
それに数か月前に、待遇の悪さと軽度なうつ病になったことを理由に自動車整備士の仕事を辞めた同級生もいます。
またTwitterなどで待遇の悪さをアピールするため給与明細の写真を投稿する者や、自動車整備士の扱いの悪さをネタとしたツイートもしばしば見られます。
人材を大切にし、自動車整備士を減らさないようにするための対策がまるでされていないように見受けられ、結局の所は「大量に入社してきても大量に辞めてしまう」というメカニズムを解決しないことには、いつまで経っても自動車整備士業界に明るい未来はやってこないでしょう。
それに、新規で人材を増やすとなれば、次にネックとなるのが「社員の教育」でしょう。
いくら国家資格を持った人材を増やしても、長年、自動車整備士の仕事をしてきたベテランほどの戦力にはなりません。
国土交通省の対策は、まだまだ甘い
元自動車整備士から見れば
「本当に国は自動車整備士の人手不足を改善する気があるの?」
としか思えない状況が続いています。
また、国だけでなく企業も労働環境の改善をするために
- 整備工場にエアコンを設ける
- 車を貸与する
- 給料を上げる
- 残業時間の短縮
などの職場環境の改善に取り組んでいる所もあるらしいですが、ごく一部の整備工場だけでしょう。
それに「残業時間の短縮」についてですが、残業時間を短縮させているからといって、決して仕事量が減っているわけではありません!
仕事量はそのまま、あるいは増え続けている状況に対して「残業時間を短縮させる」ということは、それだけ自動車1台辺りの作業時間を少なくしなければならないことになります!
こういった事がエスカレートしていけば、サービス残業をさせたり、作業が雑になったり、不正車検などをやらなければならない状況に陥り、先日のトヨタ・レクサスで起きたような問題が起こるわけであります。
また「派遣や外国人を増やす」という手段で、その場しのぎをしている所もあるようで、僕が過去に勤めていた店舗でも、派遣の自動車整備士を雇っている事と、強制的にサービス残業をさせる事で凌いでいるそうです。
でも、なんだかんだ言って、従業員を増やすための秘訣って
- 給料が高い事
- 人間関係が良く従業員同士、仲が良い事
自動車整備士だけに限らず、結局はココなんです!
確かに若者や女性にPRし、車に興味関心を持ってもらう事も大事だと思います。
しかし、賢い人と、自動車整備士という仕事を経験したことのある人は
「車は好き!車をいじるのも好き!」
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「でもそれを仕事にしようとは思わない…。」
という発想になってしまうのです。
なぜなら安月給では、自分の車を維持できないからです。
また、人間関係が良好で従業員同士の仲が良ければ、たとえ辛いことがあっても耐える事ができたり、多忙でもお互い協力しあい、効率よく仕事をこなすことでなんとか乗り切ることができるはずです!
休日には社員同士でドライブにいったり、サーキット走行しにいったり、バイクでツーリングに出かけたりして、より車が好きになったり仲間同士の絆が深まったりしていくはずです!
また、家族を連れてレースやモーターショーなどのイベントを見にいったりなどをすることで車に興味を持つ人も増えるはずです!
仮に車に興味がない人でも、待遇が良ければ「自動車整備士を目指してみようかな~」という気になるでしょう。
- 土日休み、年間休日120日
- 有給制度あり
- 初任給30万円~
- 資格手当あり
- 研修制度あり
こんな求人が多数あったら、車に興味がない人だって「自動車整備士を目指してみようかな~」って気になるはずですし、ちゃんと年々昇給していき将来性もあるとなれば尚更です!
あるいは「人の役にたちたい」「社会に貢献したい」という信念がある方は警察官や消防士、給料が安定している公務員などを選ぶかと思います。
公務員ではないものの、仮にも「国家資格」を要する自動車整備士という仕事。
自動車整備士という仕事は充分に「人の役にたつ」「社会に貢献できる」仕事なはずです!
それなのに「自動車整備士になりたい」という気にさせない、その理由…。
それは給料を含めた待遇や人間関係などが、他の業種と比べて悪く、魅力を感じないからと言えるでしょう。
ちなみに「資格手当」に関してですが、国家資格である自動車整備士には1級、2級、3級とあるわけですが、1級自動車整備士の資格を持つメリットって、実はあまり無いのです…。
国家1級の資格にたいして基本給や手当を付けてくれる会社って割と少ないですし、そもそも国家1級の資格を持っていないとできない業務って、別に無いのです…。
もっと言えば、俗に言う「1級整備士」というのは現段階では「一級小型自動車整備士」のことを言います。
冒頭にある写真を見て気がついた方もいるかもしれませんが、もちろん「一級小型自動車整備士」があるなら「一級大型自動車整備士」もありますし、「一級二輪自動車整備士」の資格も存在するのですが、実は大型と二輪の一級自動車整備士って、まだ1度も試験が開催されていないため、まだ世の中に1人もいません。
この辺を詳しく語ると非常にややこしく、長くなってしまうので後日、別記事にて追記したいと思います。
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「自動車整備士が人手不足」に関するまとめ・所感
長くなりましたが、自動車整備士が人手不足になってしまった本当の理由を記事にしました。
ザックリまとめると以下の3つであり、割とシンプルです。
- 待遇が悪いこと
- 人間関係が悪いこと
- やりがいが無いこと
これら3つが改善されれば、無理に若者や女性などにPRをしなくても、自ずと自動車整備士志望者が増え、人手不足が解決されるはずなのであります!
国土交通省や世間一般で言われがちな「少子化と若者の車離れ」と「自動車整備士の高齢化」という理由も、あながち間違いではないのですが、これら2つはほんの一部でしかなく、主原因ではありません。
その事に国や社会が気づけないうちは、自動車整備士という仕事に明るい未来は訪れないでしょう…。
同じ「少子化と若者の車離れ」や「高齢化」という理由で人手不足が深刻であるトラックドライバーなんかは、少しずつと対策が施され、若者や女性ドライバーが増えつつあり、成果が見られつつありますが、自動車整備士では、そのような成果はあまり見受けられません。
今回の記事以外にも、自動車整備士に関する記事や、転職に関する記事がありますので、よろしければ合わせてご覧になってみて下さい!
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過去に東京の某自動車ディーラーで自動車整備士の仕事をしていた時の体験談や、専門学校の時の同級生、知人、元職場の後輩などの情報を元に書いた国家一級自動車整備士のブログです!
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