今回は「サービスエンジニア」と「整備士」の違いについて解説していこうと思います。
特に整備士から転職しようとしている方なんかは、この「サービスエンジニア」という単語を目にすることがあるのではないでしょうか?
「エンジニア」というくらいだから一応は技術者の部類に入りそうなネーミングではありますが、整備士と何が違うのか?
そこでサービスエンジニアと整備士の違いについてや、整備士から転職する際に気を付けることなどを解説していきます。
整備士から転職する際の参考になれば幸いです。
サービスエンジニアとは?
サービスエンジニアの仕事について
サービスエンジニアとは出張サービスにて機械製品の保守・メンテナンスを行なう職業です。
「フィールド・サービス」や「フィールド・エンジニア」と呼ばれることもあります。
要望に応じてメカニックが客先に出向き、機材を導入した際に設置や配線を行います。
また、その後のアフターフォローとして機材の保守・点検や部品の交換・修理・トラブル発生時の故障探求や復旧作業などを行ないます。
客先に出向く出張サービスが多いため、車での移動が多い業務ですが、客先が海外である場合もあり、その場合には飛行機などで出向くことになります。
業務内容によってはオンコール(24時間)対応の可能性もあり、勤務時間が不規則になることもあります。
顧客のスケジュールに合わせて業務を行う影響から、仕事が休日や夜に及ぶこともあります。
サービスエンジニアに求められる能力は?
サービスエンジニアは機械のメンテナンスに関する知識や技術の他に、顧客の要望をよく聴き理解するためのコミュニケーション能力や、専門的な内容を初心者にもわかりやすく伝えるためのプレゼンテーション能力が必要となり、顧客と良好な関係を保てることが重要となります。
また、会社や担当する機器によっては必ずしも顧客が国内であるとは限らないため、場合によっては海外出張が必要な場合もありますので、その時は語学力も求められることもあります。
さらに海外製品ばかりを扱っている会社に就職した場合や、取引先の顧客が海外ばかりである場合には、整備書やサービスマニュアルなども全て日本語で書かれているとは限らないので、外国語のスキルが必要になることもあります。
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整備士とは?
整備士の仕事について
整備士とは、機械や乗り物などの点検・整備・修理などを行う人のことです。
修理・整備工場などで作業を行うのがメインとなります。
単に整備士というと「自動車整備士」を指すことが多いですが、その他にもマリン整備士、航空整備士、自転車安全整備士、電車整備士、ボイラー整備士、パソコン整備士などもあります。
日本では責任感や作業中の危険度の度合いに比べて、待遇などが適切とは言いがたく、特に自動車整備士に関しては半強制的なサービス残業や早朝出勤、無給による休日出勤などが恒常化している職場が令和となった今でも多く存在しており、労働環境が悪いところが多々見受けられます。
比較的、日勤であるものが多いですが、航空整備士なんかはトラブルが発生すると夜でも関係なく突然、呼び出されて出勤しなければならないこともあります。
整備士に求められる能力は?
機械や乗り物などが不具合を起こすことなく安全に動作できるよう良好な状態を保たせ、事故を未然に防ぐのが整備士の仕事です。
そのためには専門的な知識や技術、定期的な点検、適切な作業手順で整備を実施することが必要です。
不適切な整備があると人命に関わる重大な事故に発展することもありうるため、整備作業は各国法令等で定められた資格保持者のみが行うことができるよう定められていたり、整備内容によっては国から認証を得た工場でのみ整備することを許されている場合が多いです。
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サービスエンジニアと整備士の違い
サービスエンジニアと整備士の大まかな違い
サービスエンジニアと整備士とでは、どちらも機械などの点検・整備・修理を行うことには変わりありません。
両者の大まかな違いとしては、客先に出向いて出張整備をするか、自社の工場で整備を行うかの違いです。
場合によっては整備士と呼ばれている業務であっても出張サービスにて点検整備を行ったり、簡易的な故障であれば客先で応急処置を行う場合もあるでしょうが、メインは自社の工場内での点検整備になります。
主な業務内容は機械などの点検・整備・修理ではあるものの、作業をする環境が異なるため、整備士からサービスエンジニアに転職を考えている方は、その辺りのことも考慮する必要があります。
また、サービスエンジニアは主に自社製品の点検・整備・修理を行うことが多いのに対して、整備士は他社製品の点検・整備・修理を行うことも多いです。
資格の取得方法の違い
整備士の場合ですと大抵のものは国家資格制度があります。
自動車を整備するのならば自動車整備士の資格。
船舶を整備するのならばマリン整備士の資格。
航空機を整備するのならば航空整備士の資格。
近年では、これらの国家資格は専門学校や訓練校に通い、入社前に国家資格を取得してから就職するのが一般的になりました。
一方サービスエンジニアの仕事の場合は無資格で入社でき、入社後に会社が定める研修や講習を受けて教育されるのが一般的です。
整備士のように「国家〇級サービスエンジニア」というような資格はないのですが、扱う機械によっては電気工事士の資格が必要になる場合があったり、IT機器を扱う場合は基本情報技術者の資格が必要になる場合があります。
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整備士からサービスエンジニアに転職する際に気を付けること
サービスエンジニアは1人作業が多い
整備士からサービスエンジニアに転職を考えている方もいると思います。
特に労働環境の酷さと待遇の悪さが伝統となっている自動車整備士の方々なんかは…。
サービスエンジニアは整備士に比べて客先に出向いての作業となるため、基本的に1人、多くても2~3人くらいで作業を行なうことが多いです。
点検・整備・修理を行う機械の規模によっては大人数で行われる場合もあるでしょうが、1人で客先に出向いて作業を行うことが多いため他人の力を借りず、単独で作業をこなすスキルがないと務まりません。
ホームグラウンドとも呼べる自社工場で作業を行う整備士でしたら個人経営の店舗ではない限り少なくても4~5人以上で運営しているところがほとんどであるため、それぞれ役割分担をしたり、流れ作業で行うことも可能です。
例えば自動車整備士で言えば、法定点検をメインに行う者、車検の検査員をメインに行う者、重整備をメインに行う物、リコール作業をメインに行う者など、整備士それぞれに役割を振り分ければ毎回、同じような業務を繰り返し行うため、効率よく行うことができます。
もし分からないことがあったり自分にとって不得意である仕事に当たってしまった時でも、他人の力を借りることで対処することが可能です。
(人間関係が著しく荒れている場合は別ですが…)
ですが、サービスエンジニアは1人で客先に出向いて作業を行うことが多いため、独自の知識や技術のみで攻略し完結しなければなりません。
サービスエンジニアはコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も重要
サービスエンジニアは整備士以上にコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も重要になります。
特に整備士、フロントマン、営業マンと分けて業務を行っている職場では、整備士は顧客と接点があまりないため、コミュニケーション能力やプレゼンテーションがそこまで求められません。
しかしサービスエンジニアは顧客の要望をよく聴き、その要望に沿って機械の設置や設定、配線をする必要があります。
故障やトラブルがあれば、顧客に問診を行う場面も出てくるでしょうし、点検・整備・修理が完了した後は整備結果説明が必要となります。
もし修理作業が長引いたり、一度、製品を預からなければならない場合には、顧客が納得いくよう状況や理由を説明しなければならなくなります。
製品を預かっている間、代用品が必要であれば、その代用品の使い方の説明を専門知識のない人にも分かりやすく説明しなければなりません。
そういった意味で整備士以上に顧客との直接的な関りが多いため、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が必要とされます。
ちなみに「コミュニケーション能力が重要」と言うと、口数が少ない人や陰キャな人は不向きであるように思われがちですが、顧客からの要望をきちんと的確に聴く能力が重要であるため、一見コミュニケーション能力がありそうに見える陽キャなタイプの人でも、必ずしもサービスエンジニアに向いているとは限りません。
顧客からの要望をよく聴かず、主観的な感じで会話をしたり、一方的に作業を行ってしまうような人はサービスエンジニアには向きません。
サービスエンジニアの作業場所はホームグラウンドではない
基本的に整備士はホームグラウンドとも呼べる自社工場での作業がメインになります。
サービスエンジニアになると他人の敷地での作業となるため、整備士ほど気楽に作業ができなくなります。
特に作業場所が家やマンション、オフィスなどであった場合には、床や壁を汚したり傷つけたりしないように気を付けなければならないため、工具や機械のパーツを床に置いたりする際にも配慮が必要になりますし、服や手が汚れてしまった場合には、その汚れた服や手によって床や壁を汚さないように注意を払わなければいけません。
病院、介護施設などでしたら衛生面にも気を使わなければならなくなります。
場合によっては病院や介護施設が指定した服装でなければ出入りできない所もあります。
点検・整備・修理を行う機械が医療機器である場合には、人命が関わることもあるため責任重大になります。
食品を扱う工場なんかも衛生面に気を付けなければなりません。
万が一、作業に不備があり、食品に異物混入してしまうような事態になると大規模なクレームに繋がる恐れもあります。
サービスエンジニアの作業は限られた機器や工具での作業になる
点検・整備・修理に必要なものが必ずしも完備されているとは限らないでしょうが、ある程度の設備が整った環境で作業ができます。
工具も、ある程度、豊富にある状態で作業ができます。
これがサービスエンジニアになると出張サービスになるため、限られた機器や工具での作業になります。
工具も整備士では状況に応じて使い分けたりしている人も多いと思います。
メガネレンチだけでも、同じサイズのものでも色々な長さ、色々なオフセット、色々な形状、色々なタイプなものを多数そろえて状況に応じて使い分けたりしている人も多いことでしょう。
ですが、これが出張サービスとなると持っていける工具の数に限度が出てきますので、整備士で使われる工具と比べると持ち運び性や汎用性が求められるようになります。
更に言えば、国内ならばまだしも、出張先が海外である場合には、持っていける物がそうとう限られてしまいます。
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サービスエンジニアと整備士の違いについてのまとめ
今回の記事はサービスエンジニアと整備士の違いについてでした。
基本的に機械の点検・整備・修理を行うあたりは同じなのですが、異なるところをザックリとまとめると以下の通りです。
- 整備士と比べると出張サービスにて作業を行う。
- 無資格でも入社できる場合が多く、資格・知識・スキルなどは入社後に研修で教わる所が多い。
- 整備士よりも顧客との直接的な関りが多いためコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が必要。
- 業務内容によってはオンコール(24時間)対応の可能性があり勤務時間が不規則になることがある
整備士とフロント業務が合わさったような感じになりますので、ただの修理屋さん間隔で転職しようとすると思わぬミスマッチが発生してしまうかもしれません。
ただ、サービスエンジニアの仕事は入社後してから知識や技術を学ぶスタイルであるため、研修制度が充実している所が多いのと整備士よりも収入アップが期待できる業界であるため、顧客との直接的な関りが苦手ではない方でしたらチャレンジしてみる価値はあると思います。
今回はサービスエンジニアと整備士の違いについてでしたが、他にも自動車整備士からの転職に関する記事もありますので、よろしければ参考にしてみて下さい。