こんにちは、プロキオンです!
先日、政界を引退することを表明された「世界一貧しい大統領」の愛称で有名になったウルグアイの元大統領「ホセ・ムヒカ氏」が大切に乗っている愛車について記事にしてみました。
政界引退に関する記事はコチラをご覧ください。
>>>世界一貧しい大統領ホセ・ムヒカ氏コロナの影響と持病を理由に引退!
「大統領の車」というと、専属の運転手付きな高級車をイメージする人が多いと思いますが「世界一貧しい大統領」と呼ばれていたホセ・ムヒカ氏の愛車は、タイトルにもあるように水色のフォルクスワーゲン・ビートルという古い大衆車で、専属の運転手はおらず、ご自身で運転されています。
ホセ・ムヒカ元大統領といえば2012年のリオ会議(地球サミット)で行ったスピーチで
「無限の消費と発展を求める社会は、人々を、地球を疲弊させる。発展は幸福のためになされなければならない」
「本当の貧しさとは何か」
について語り、話題となった方です。
今回は、そんなホセ・ムヒカ元大統領の愛車について記事を書いてみました。
世界一貧しい大統領ホセ・ムヒカ氏の愛車
友人から貰った18万円相当の水色のビートル
ホセ・ムヒカ元大統領が乗る愛車は、知人から貰った18万円相当の1987年型フォルクスワーゲンのタイプ1(ドイツ製)通称ビートルと呼ばれる古い大衆車です。
決して大統領クラスの人が乗る高級な車には見えないと思います。
年式も古く、エンジンも最近主流の水冷式ではなく空冷式ですし、空調システムもエアコンではなくクーラーとマフラーの熱を利用したヒーターです。
扱いとしては旧車ですね。
そんな世界一貧しい大統領の愛車ビートルですが、一時期はアラブの富豪が100万ドル(約1億1500万円相当)で買い取るとの申し出があった事もあり、話題にもなりました。
しかし、ホセ・ムヒカ元大統領は
「友達に貰ったものだから、売れば友達を傷つけることになる」
と申し出を拒否しました。
友情と愛車、地球上の限りある資源を大事にする志が素晴らしいですね!
日本の人達も是非とも見習わなければなりません。
大衆車ながらも伝説的な実績のある名車・ビートル
ホセ・ムヒカ元大統領が乗っているフォルクスワーゲン・ビートルは「カブトムシ」の通称でも知られており、今でも一部の車好きの間では旧車部門で人気のある車です。
1938年の生産開始以来、2003年まで半世紀以上も生産が続き、国際的な自動車市場で多大な成功を収めた。
四輪自動車としては世界最多の累計生産台数「2152万9464台」の記録を打ち立てた伝説的大衆車である。
日本でも一部の旧車好きの間では、きちんとレストアし、長く大事に乗っている人もいます。
質素な生活を続けたことなどから「世界で最も貧しい大統領」として知られることとなったホセ・ムヒカ元大統領と伝説的大衆車であるフォルクスワーゲンのビートル。
イメージ的にもピッタリで良いですね。
ただし「大衆車」といっても決してお粗末な車というわけではなく、低価格で質素な作りでありながらも、かなり力を入れて開発された名車であり、車ブームが終わっている日本でも旧車好きの間では今でも需要があり、専門店やカスタムショップもあります。
例えば東京都の目黒区にあるFLAT4(フラットフォー)が有名であり、今でも部品やカスタムパーツが豊富であるため、部品の入手が困難になりやすい旧車乗りにとっては重宝されます。
全鋼製セミ・モノコック構造の丸みの強いボディは強度確保と軽量化の両立をしつつ、空気抵抗の低減や鋼材の節約にもなり、高強度・高性能・軽量化・低コスト・低燃費を実現しています。
エンジンも廉価で軽く頑丈なため、オートバイや軽飛行機、フォーミュラーカーなどのエンジンにも流用や応用がされた事例もあります。
ホセ・ムヒカ元大統領の愛車ビートルは力作!
開発のきっかけ
フォルクスワーゲン・ビートルの開発は1933年、ドイツ首相に就任したヒトラーが、アウトバーン(高速道路)建設と国民車構想の計画を打ち出したことをきっかきに始まりました。
また、当時は高価だった自動車を「国民全員が所有できるようにする」という計画がありました。
カーマニアのヒトラーは、ポルシェに国民車の条件として、以下のような厳しい条件を提示した。
- 頑丈で長期間大きな修繕を必要とせず、維持費が低廉であること
- 標準的な家族である大人2人と子供3人が乗車可能なこと
(すなわち、成人であれば4人乗車可能な仕様である)- 連続巡航速度100 km/h以上
- 7 Lの燃料で100 kmの走行が可能であること
(=1 Lあたりの燃費が14.3 km以上)- 空冷エンジンの採用
- 流線型ボディの採用
これらの条件はもとよりポルシェの目指していた国民車コンセプトに多く合致していたが、ヒトラーがポルシェに強調したのは「この条件を満たしながら、1,000マルク以下で販売できる自動車を作ること」であった。
ヒトラー自身も課題の厳しさは承知していたようだが、当時のドイツ製1,000 cc級4人乗り小型乗用車で、大量生産による低価格化を実現した代表例のオペル「P4」ですら、定価1,450マルクに抑えるのが精一杯だったことを考えれば、販売価格1,000マルクで必要とされる性能の自動車を開発することは極めて困難なテーマであった。
速度無制限・通行無料の高速道路「アウトバーン」を作り、短い時間で長距離の移動を容易にできるようにすることが経済を良くするために必要不可欠であると考えられていました。
それには高性能な車を低コストで国中に広める必要があったため、厳しい条件を提示されたのです。
日本とは異なるドイツの時間とお金の価値観
ドイツでは「時は金なり」の考え方が日本とは異なり、時間や費用、労力などを費やしてでも高品質で丈夫な物を作る事が将来的に見た場合、時間とお金の浪費を防ぐことに繋がり、経済が良くなるという考え方であります。
低品質で、頻繁に修理や買い替えが必要となる物は経済の悪化に繋がると考えられています。
日本の高速道路のように頻繁に路面が傷んでしまい、こまめに修復作業が必要となることは手間であり、工事渋滞の原因にもなり、経済の悪化に繋がります。
また、国の広さも広大である事から移動の手段で使われる「高速道路」は、経済を良くするために重要な物であると考えられているため、国民が積極的に活用できるよう無料で通行ができます。
しかも、無料にすることで料金所が不要となるので、これもまた渋滞を防ぐことにも繋がります。
遠い場所まで短い時間で行くことができるよう、速く・安全に・スムーズに走れるよう作られていて、速度も無制限です。
日本で「速度無制限」と聞くと「事故が増えて危険だ」というイメージを持たれるかもしれませんが、ドイツでは道路の作り、車の性能、ドライバーの運転技術やマナーなどがしっかりしているため、そこまで厳しく制限や罰則などを設けなくても割と事故は少ないです。
まとめ
国民全員が速く・安全に・トラブルなく・しかも低コストで長距離移動を短時間でできるようにするために開発されたフォルクスワーゲンのビートル。
「世界一貧しい大統領」が乗っている古い大衆車という点から「低品質でお粗末な車」というイメージを持たれてしまう事もあるかもしれませんが、実はかなり開発に力を入れて作られた名車なのであります。
日本でも、一部の車好きの間で今でも人気があることからプレミアも付いており、30年以上前の中古車でも150万円以上してしまうこともザラです。
当時、丈夫で壊れにくく作られたとは言え、年式が古いため、ある程度の維持費や小まめなメンテナンスも必要になります。
そういった点では、ある意味では高級車であり、今となっては貧しい人が乗る車でもないかもしれませんが、良い物を長く大切に使うという観点では、ホセ・ムヒカ元大統領にはピッタリで素晴らしい車だと思います。