こんにちは、プロキオンです!
今回の記事では2020年11月30日に起こる「半影月食(はんえいげっしょく)」の時間・方角、月食の度合いを表す「食分」について解説していきます!
今年3度目の半影月食になりますが、半影月食という言葉を、あまり聞きなれない人もいると思います。
日食や通常の月食と比べると認知度が低く、あまり天体ネタに詳しくない人にとってはよく分からないかもしれません。
その点も踏まえて今回の記事では半影月食2020年11月について解説していきたいと思います!
半影月食2020年11月の時間・方角・食分
月が見られる方角
肝心の月が位置する方角と空に現われる時間帯ですが、「方角」は全国どのエリアでも同じで主に東の空になります。
引用元:パソコン用ソフト・ステラリウム
もう少し細かく言いますと東より少し北側である「東北東」の地平線(又は水平線)から顔を出し、時間の経過と共に右上の方に昇っていきます。
月が天高く昇る前に半影月食が終わってしまうので、東側の低めの空を眺めることになります。
エリアによっても、ある程度の誤差はありますが、東の空の地平線~高度51度の範囲内で半影月食を見ることができ、東京を例にすると半影食の終了時(20時55分)に高度は約51度に達します。
引用元:パソコン用ソフト・ステラリウム
方角に関しては日本全国どのエリアでも同じですので特に問題は無いのですが、今回の半影月食で注意しなければならない事が「時間」になります。
場所によって月が地平線から顔を出す時間にズレがあり、北側・東側のエリアになるほど早い時間帯から東の空に月が顔を出します。
逆に南側・西側のエリアになるほど遅い時間帯に月が顔を出します。
そして今回の半影月食では、エリアによって月食が開始する時刻に月出(月が東の空から出ること)が間に合う場所と、間に合わない場所があります。
半影月食の時間・食分
2020年の11月30日に起こる半影月食の時間ですが、半影月食そのものは日本全国どの場所でも16時30分に始まります。
その後は18時42分頃に半影月食の最大食分「ー0.26」を迎え、20時55分頃に終わります。
【2020年11月30日 半影月食の基本情報】
半影月食の始まり時刻 | 16:30頃 |
半影月食の最大時刻 | 18:42頃 |
半影月食の終わり時刻 | 20:55頃 |
最大食分 | -0.26 |
札幌 | 仙台 | 東京 | 大阪 | 福岡 | 那覇 | |
月出時刻 | 16:00 | 16:15 | 16:26 | 16:46 | 17:09 | 17:36 |
薄明 終了時刻 | 17:42 | 17:50 | 17:58 | 18:16 | 18:38 | 18:58 |
月食開始時の高度 | 4.6度 | 2.4度 | 0.5度 | 地平線下 | 地平線下 | 地平線下 |
月食最大時 の高度 | 27.3度 | 26.6度 | 25.3度 | 21.7度 | 17.4度 | 13.2度 |
月食終了時 の高度 | 50.3度 | 51.5度 | 51.3度 | 47.9度 | 43.8度 | 41.2度 |
※薄明(はくめい)は「日の出のすぐ前」「日の入りのすぐ後」の空が薄明るい状態、又は薄暗い状態のことです。
北側・東側のエリアになるほど早い時間帯から東の空に月出し、薄明も終了します。
逆に南側・西側のエリアになるほど遅い時間帯になります。
札幌、仙台、東京でしたら半影月食が始まる16時30分頃という時間にギリギリ間に合います。
あとは月が見られる東側の空に障害物となる建物や木などが無いことが重要になります。
しかし大阪、福岡、那覇のような南側・西側のエリアでは月出の時刻が遅く、残念ながら半影月食を開始から見ることができず、途中から鑑賞することになってしまいます。
半影月食2020年11月の見え方
最大食分
2020年11月に起こる半影月食のピークは18時42分頃で、最大食分が「-0.26」となっています。
食分の値の説明は次の項目でしますが、この「-0.26」という数値は、まずまずな数値です。
ただ、今回のような半影月食の場合は日食や皆既月食・部分月食と比べると、影に隠れる様子がクッキリと見えるわけではなく、薄っすらと変化していく感じになりますので、よ~く見ないと分かりにくいと思います。
特に太陽の日食のようにクッキリと欠けていく状態をイメージされている方は「これ半影月食なの?」と思われるかもしれませんが、半影月食とは、そういうものです。
食分とは
「食分(しょくぶん)」とは、日食や月食において、欠けた部分の全体に対する割合を示す値になります。
面積比とは別で、太陽と月の中心を結ぶ線上で測定した暗黒部分の幅と、隠される側の天体の直径との比で表わします。
月食の場合では
(本影の半径+月の視半径ー本影の中心と月の中心の距離)÷(月の視直径)
という式で計算されます。
半影月食の場合は0未満のマイナスの値、部分月食は0~1、皆既月食の場合は1以上の値で表されます。
今回の月食は薄い影で起きる半影月食でありますので「-0.26」とマイナスの値で表されます。
数値が大きくなるほど月が影に隠されるというイメージになります。
月食の基本情報
月食の起こるしくみ
月は太陽の光を反射して輝く天体であり、その反射した光が地球に届くことで見ることができます。
地球にも太陽の光による影があり、太陽とは反対の方向に伸びています。
この地球の影の中を月が通過する時、月が暗くなったり欠けたように見える現象が「月食」になります。
月食は「太陽・地球・月」の3つが一直線に並ぶ時に起こります。
この「一直線に並ぶ時」というのは満月になりますので、月食というのは満月の時にのみ起こる現象です。
ただし、星空の中での白道(月の通り道)というのは、黄道(太陽の通り道)に対して傾いているため、普段の満月は、地球の影から外れた所を通りますので、満月の度に月食が毎回のように起こるわけではありません。
月食の種類
地球の影には、太陽光がほぼ遮られた濃い影「本影」と、本影を取り囲む薄い影「半影」の2種類があります。
そして、月が本影と半影の、どちらの影に入り込むかによって月食の呼び方が変わります。
【半影月食】
月の一部または全部が半影部分だけに入った状態になり今回の月食は、このタイプになります。
「半影」は薄い影なので、肉眼で見ただけでは月が欠けている様子が分かりづらく、注意深く観察しなければ確認しにくい程度であり、事前に予告されないと半影月食が起きていることに気がつかない場合もあります。
濃い影で太陽光を大きく遮られるわけではないので「食分」の値としてはマイナスの値が使われます。
【本影月食】
月の一部または全部が本影に入った状態で、一般的に「月食」というと、この本影月食のことを指すことが多いです。
「本影」は濃い影なので、月が欠けている様子がハッキリと見えます。
月の一部だけが本影に入り込む現象が「部分食」であり、月の全てが本影に入り込む現象が「皆既食」になります。
半影月食に比べると濃い影で太陽光を大きく遮られることになりますので「食分」の値は0以上の数値で表されます。
皆既月食中の月の色
皆既月食中には、月が本影の中に完全に入り込みますが、皆既月食が起きている時の月は太陽の皆既日食のように完全に真っ暗になるわけではなく、赤茶色っぽい色の「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる色に見えます。
この現象は地球の周りに大気があることが関係していて、太陽光が大気の中を通過しようとする際、波長の短い青い光は空気の分子によって散乱されてしまい、大気をほとんど貫通することができません。
逆に波長の長い赤い光は地球の大気の中を通過する際に散乱されにくく、ある程度は弱まりますが大気を貫通することができます。
これは、朝日や夕日が赤っぽく見えるのと同じ原理です。
さらに大気がレンズのような役割を果たし、太陽光を屈折させ、本影の内側に入り込ませて赤い光が月面を照らすので、月が赤茶色っぽく見えます。
また、この時の赤み具合は皆既月食が起きている時の地球の大気濃度によって変わるので毎回、同じ色ではなくオレンジ色っぽく見える時もあれば赤黒く見える時もあり、その時その時で違います。
ドラマや、アニメ・ゲーム内に「赤い月(又は朱い月)」という単語がが出てくる場合がありますが、この赤っぽく見える月は架空の物ではなく実在する物です。
関東エリアで星空が綺麗に見えるおすすめスポット
今回は2020年11月30日に起こる半影月食について解説しました。
もし天体に興味を持たれて
「どうせなら綺麗に星空が見られる場所で鑑賞したい!」
という方のために東京の都心から比較的、気軽に行ける範囲で星空が綺麗に見えるおすすめスポットの紹介記事のリンクを貼ってありますので、よろしければこちらも合わせてご覧ください!
「本格的に天体観測できる場所」というよりかは、都心から遠すぎず、なるべく24時間営業のコンビニやトイレが周辺にあり、初心者の方にもオススメな場所をメインに紹介しています!
東京都のおすすめ星空スポット
千葉県のおすすめ星空スポット
埼玉県のおすすめ星空スポット
茨城県のおすすめ星空スポット
今後も少しずつ、おすすめスポットの紹介記事を追加していこうと思います。
m(__)m
まとめ
今回の記事では2020年11月30日に起こる半影月食について解説させてもらいました。
北海道や仙台のような北東のエリアでは割と高度が高い位置で月を鑑賞できるので比較的、観察しやすいかと思いますが、逆に南西のエリアでは半影月食の開始時間にはまだ地平線の下にあり、その後も高度が低い位置で観察することになると思います。
半影月食の開始にギリギリ間に合う東京周辺でも、あまり条件が良いとは言えないので、今回の半影月食では、なるべく東の空に建物や森林などの障害物が無い場所で観察することをオススメします。
2020年11月、最後の天体ショーネタでしたが、来月の2020年12月には3大流星群の1つである「ふたご座流星群2020」が起きます!
※ふたご座流星群2020についてはコチラをご覧ください!
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ふたご座流星群2020の方角・ピーク時間・月の影響の紹介!