今回はドイツの工具メーカーであるHAZET(ハゼット)のラチェットを実際に使ってみた個人的感想や評価についてのパート3です!
前回の記事はコチラ
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パート1~2ではソケットの差込口が1/4インチのシリーズについての評価やレビューでしたが、今回は3/8インチ(9.5mm)のラチェットについて評価していきます。
ハゼットのラチェットの評判や口コミ、レビューなどが気になる方は参考にしてみて下さい。
※1/2インチについては後日、追記予定ですので、しばらくお待ちください
ハゼット90ギア 3/8 ファインピッチラチェット 8816HPの評価
ハゼット90ギア ファインピッチラチェット8816HPの特徴
HAZET製、新型90ギアを搭載したソケットの差込口3/8インチ(9.5mm)のスタンダードモデルのラチェットです。
前回の記事で紹介しました1/4インチ(6.35mm)サイズのスタンダードモデル863HPの1サイズ上の物であり、基本的にはギア数や形状などは同じですので、評価や感想の内容が似てしまうと思いますがご了承下さい。
グリップも863HPと同様に新しくなっており、触った感じは旧型の物よりも摩擦力が少し向上しており、滑り止め用のスリットと吊り下げ用の穴も追加されています。
3/8ボディながら耐荷重は400N・mと異常なくらいの数値を叩き出しており、HAZETらしい頑丈さに拘ったラチェットです。
90ギアと他ギア化したことで振り角は僅か4°と、かなり細かくなりました。
(旧型は30ギア・振り角12°です)
重量は258.5gとなっております。
後日、別記事にて他のメーカーのラチェットの重量も紹介する予定ですが、ハゼットのラチェット8816HPは重量だけで言えば普通かなと思います。
ですが、耐久トルク400N・mという丈夫さも視野に入れて考えると、強度の割には軽いかなという個人的評価です。
試しに空転トルクをトルクドライバーで測ってみると約5.6cN・mでした。
※1cN・m=0.01N・mです
1cN・m=0.01N・mですですので、5.6cN・mをN・mで表すと0.056N・mです。
この約「5.6cN・m」というのがラチェットの空転トルクとして軽い方なのか重い方なのかピンとこないかもしれませんが、これについても後日、別記事にて色々なメーカーのラチェットと比較してみた結果を紹介していく予定です。
- 名称:ファインピッチラチェットレンチ
- プッシュボタン:無し
- 全長:200mm
- 重量:258.5g
- ギア数:90ギア
- 振り角:4°
- ドライブ角:3/8dr(9.5mm)
- 耐久トルク:400N・m
- 空転トルク:約5.6cN・m(約0.056N・m)
ハゼット90ギア ファインピッチラチェットのメリット
耐久トルクが400N・mと、3/8インチサイズのラチェットとは思えない耐久性です。
ちなみに工具の王様と言われているスナップオンのラチェットですと、3/8インチサイズの100ギアシリーズでも推奨最大トルク108N・mとなっています。
ハゼット90ギア ファインピッチラチェットのデメリット
耐久トルクが400N・mと高強度な割には空転トルクも少なく、スムーズに回転するのですが、スタビレーの80ギア、スナップオンの80・100ギアシリーズ、コーケンZ-EALシリーズ、KTC90ギアなどのラチェットに比べると少し硬めであり、切り替えレバーの動きも少し硬めなので、早回しのしやすさや、片手で扱う時の使いやすさは少し劣るかもしれません。
人によっては「3/8サイズのラチェットに耐久トルク400N・mも要らないよ」と思う人もいると思います。
耐久トルクが400N・mとなってはいるものの、全長200mmという短いラチェットに400N・mもの力を、そもそもかけるか?
400N・mという数値だけで言えば2サイズ上の3/4の工具で脱着するボルト・ナットにかけるトルクです。
そこまで強いトルクを長さ200mmのラチェットにかける場面があるのか?
それにラチェットと合わせて使用するソケットやエクステンションバーも、かなり強度の強いものを使わなければ割れたり折れたりしてしまいます。
丈夫であるに越したことはないとは思いますが、そこまでオーバースペックな耐久トルクを求める必要はないという考え方もあるでしょう。
それに値段も定価ですと23,100円と非常に高価であり、バーゲンなどで大安売りしている時に買っても1万円以上はするので、予算に余裕がないと厳しいものがあります。
ハゼット90ギア ファインピッチラチェットの評価・レビュー・感想
1/4のハゼット新型ラチェットと同様に非常にコンパクトサイズながらも異常なくらい高強度で剛性感のあるラチェットです!
空転時も「カチッ!カチッ!」とカッチリ感のあるフィーリングであり、ガタや遊びも少ないので使っていると、とても頼もしさを感じます。
ラチェットに要求される「多ギア・高強度・回転の滑らかさ・空転トルクの低さ」等の要素を全て満たすのは非常に困難であり、一昔前では小判型ヘッドのラチェットでは14~36ギアくらいが主流であり、回転の滑らかさ・空転トルクの低さもあまり良くはなく硬めなフィーリングでした。
丸形ヘッドのラチェットでは60~72ギアくらいが主流であり、小判型ヘッドのラチェットよりかは多ギアであり、回転の滑らかさ・空転トルクの低さも割と軽めでしたが、回転方向を切り替える手段がレバーではないため、回転方向を切り替える操作が少しし辛いことと、長く使っていると調子が悪くなって切り替え操作ができなくなることがあるといったデメリットがありました。
ですが、ハゼットの新型ラチェットは、小判型ヘッドにして90ギアとなりました。
スタビレーの80ギア、スナップオンの80・100ギアシリーズ、コーケンのZ-EALシリーズ、KTCの90ギア等のラチェットの方が空転トルクとラチェット自体の重量が軽いため、そこまで耐久性を必要としない場面では上記4メーカーのラチェットの方が使いやすいかなと思います。
と言っても、他のメーカーも含めた3/8インチサイズのラチェット全般の中では、空転トルクが少なくスムーズに回転する方ではあるので、決して使いにくいわけではありません。
どうしても空転トルクが重いと感じるようでしたら、ソケットやエクステンションバーに滑り止めが施されているものと組み合わせて使用したり、クイックスピンナと合わせて使用すると少し軽減されます。
見た目に関しては梨地仕上げで渋くてカッコイイのと、細かいキズが目立ちにくいです。
日本ではスナップオンやKTCのネプロスのように鏡面仕上げがされていてピカピカに輝いている派手な工具の方が人気が出やすいですが、長く使っていると細かい無数のキズが付き、新品時のような輝きが失われていき、濁った感じになってしまいます。
ですが、ハゼットのような梨地仕上げの工具では元から濁ったような見た目をしているので細かいキズが目立ちにくいです。
ハゼット 30ギア 3/8 首振りリバーシブルラチェット8816Gの評価
ハゼット 30ギア 首振りリバーシブルラチェット8816Gの特徴
ヘッド部分が180°回転可能な首振りラチェットのロングバージョンです。
旧モデルの8816Pリバーシブルラチェットの首振り版です。
ヘッドは小判型で30ギアであり、先ほど紹介した新型の8816HPと比べるとギア数は少なく、空転トルクも約8.1cN・m(約0.081N・m)と硬めです。
それと異物混入対策として、なるべくネジを使わない構造ではありません。
ブリップ部分も滑り止め用のスリット加工は無く、触った感じも少しツルツルしていますし、吊り下げ用の穴もありません。
耐久トルクは不明ですが使った感じはハゼットらしい、非常に硬くガッチリしています。
一昔前のラチェットらしいフィーリングです。
- 名称:首振りリバーシブルラチェット
- プッシュボタン:無し
- 全長:276mm
- 重量:368.2g(メーカーホームページでは0.37kgと記載)
- ギア数:30ギア
- 振り角:12°
- ドライブ角:3/8dr(9.5mm)
- 耐久トルク:???Nm
- 空転トルク:約8.1cN・m(約0.081N・m)
ハゼット 30ギア 首振りリバーシブルラチェット8816Gのメリット
非常に硬く、強いトルクをかけても、ほとんどしなることがなく、かと言ってガラスのように脆い(もろい)わけでもないので折れたり割れたりする心配もほとんど無いです。
首振りラチェットとしては、かなり丈夫なので安心して強いトルクをかけられます。
スタンダードタイプでは立ち入りが困難な場所での作業や、障害物を回避しなければならない上に、強いトルクをかけなければならない場面で非常に重宝します!
ハゼット 首振りリバーシブルラチェット8816Gのデメリット
首振りラチェットのデメリットとしてトルクが真っすぐかからないため、ラチェット自体が破損しやすかったり、ボルト・ナットをダメにしてしまうリスクが高いというのが常識です。
ハゼットのラチェットは非常に高強度であるのでラチェット自体が破損してしまう事は少ないのですが、あまり力を掛け過ぎるとボルト・ナットの方をダメにしてしまう恐れがあります。
なので、障害物を回避する関係でトルクを真っ直ぐかけられないような場面では、力加減に気を付けながら作業したり、なるべくボルト・ナットを傷めにくい工夫がされているソケットを使用するようにすることをおすすめします。
つまり、ボルト・ナットとソケットをはめた時に、なるべく隙間やガタが少なくピッタリはまる上に、なるべく接触面積が大きい物や、ボルト・ナットの角の部分を避けて接触する物が良いのです。
あるいは、隙間やガタは非常に多いのですが、コーケンやDEENなどが出している「サーフェイスソケットレンチ」という、ボルト・ナットとの接触面積を大きくすることを徹底的に追及した結果、ちょっと不思議な形をしたソケットもあるのですが、こういった物を使うのもアリだと思います。
普通のソケットとは違い、六角形ではなく、E型トルクスソケットのような形状をしているソケットになります。
E型トルクスソケットのような形状をしているのですが、E型トルクス用のソケットとも少し異なった形状をしています。
六角形の形状をしていないので、六角のボルト・ナット用のソケットとして認知されていないこともありますが、ちゃんと六角のボルト・ナット用のソケットです。
上の写真のように六角のボルトをはめてみると隙間が広くてガタ・遊びが大きいのですが、ボルトとソケットとの接触面積はかなり多く、ボルト・ナットの負荷が少ないのです。
E型トルクスソケットとも少し違った形状をしているサーフェイスソケットですが、実は形状が似ているのでE型トルクスとしても実は使用できます。
自分も昔、日産車のドライブプレート(エンジンとAT・CVTの間に付いているフライホイールのような部品)を固定しているE型トルクスのボルトをDEENのサーフェイス型ソケットで脱着したことがあります。
(正確にはエアラチェット用に作られたソケットですが…。)
ハゼット 首振りリバーシブルラチェット8816Gの評価・レビュー・感想
ハゼットらしい非常に硬く、頑丈な首振りラチェットですが、現状では首振りラチェットの新型90ギアは出ておらず、ギア数は30枚であり、グリップも旧モデルのままです。
一昔前では充分なスペックだったのですが、近年では多ギア・低フレクション・高強度・多機能なラチェットが続々と出てきました。
故に、できれば首振りタイプのラチェットでも新型90ギアが出ると良いなと思います。
更に言えば、スタビレーやスナップオンの首振りラチェットのようにロック機能が付いており、段階的に角度が調整できたり、ロック機能を解除して無段階としても角度調整ができる物が出ると尚嬉しい所存です。
ハゼット 72ギア 3/8 ファイントゥースリバーシブルラチェット8816Fの評価(廃盤品)
ハゼット 72ギア 3/8 ファイントゥースリバーシブルラチェット 8816Fの特徴
既に廃盤となってしまった商品なのですが、使いやすさと強度が兼ね揃えられており、個人的には非常におすすめなラチェットなので紹介したいと思います。
ハゼット 72ギア 3/8 ファイントゥースリバーシブルラチェット8816Fです。
丸形ヘッド+72ギアと、一昔前では定番のギア数です。
ヘッドの裏側にプレートが付いているので指をヘッドにかけても切り替えスイッチが誤作動しにくくなっているのが8816Fの最大の特徴であり、ヘッドを指で押さえながら使用した際に、間違って回転方向が切り替わらないように作られたラチェットになります。
耐久トルクは、うろ覚えなので、ひょっとしたら間違っているかもしれませんが、たしか300N・mだったと思います。(間違っていたらすみません)
重量は221.7gで新型の8816HPよりも軽いです。
10年以上も前に買ったものなので、ある程度の劣化や使用感はありますが、空転トルクは約1.7cN・m(約0.017N・m)と、かなり軽いです!
- 名称:ファイントゥースリバーシブルラチェット
- プッシュボタン:無し
- 全長:185mm
- 重量:221.7g
- ギア数:72ギア
- 振り角:5°
- ドライブ角:3/8dr(9.5mm)
- 耐久トルク:多分300N・m?
- 空転トルク:約1.7cN・m(約0.017N・m)
ギア数と強度は新型の8816HPには劣るものの、長さと重量がちょうど良く、回転がスムーズであり、使いやすさと強度がうまく兼ね揃えられています!
ハゼット 72ギア 3/8 ファイントゥースリバーシブルラチェット 8816Fのメリット
既に廃盤となってしまった一昔前のラチェットではありますが、ハゼットの新型スタンダードモデルの8816HPと比べると、新型の8816HPの方が全長200mm、重量258.5gに対して、8816Fは全長185mm、重量221.7gと少し短く、そして軽いです。
それに空転トルクも8816HPより軽くてスムーズに回転するので旧モデルながらも、なかなか使いやすいです。
耐久トルクも多分300N・m(?)と、新型には劣るものの、他社のラチェットと比較すると近年の物と比べても3/8サイズのラチェットとしては充分すぎるくらいな強度です。
大きすぎず、重すぎす、使いやすさと強度が兼ね揃えられた非常におすすめなラチェットです!
あと回転方向を切り替るスイッチですが、プレートで背面が覆われている上に、小判型ヘッドのようなレバーも無いので
「切り替え操作がしにくいのでは?」
と思う人もいるかもしれませんが、実は切り替え操作も容易に行えます!
切り替えスイッチは滑らないようザラザラしているので、親指と人差し指で掴んで切り替えることもできますし、親指1本、もしくは人差し指1本でも容易に行えるのです!
ちゃんと片手のみでも容易に回転方向を切り替えられるようになっているのも、おすすめポイントの1つです!
ハゼット 72ギア 3/8 ファイントゥースリバーシブルラチェット 8816Fのデメリット
一昔前では小判型ヘッドのラチェットでは14~36ギアくらい、丸形ヘッドのラチェットでは60~72ギアくらいが主流であり、当時としては小判型ヘッドのラチェットより多ギアであり、回転の滑らかさ・空転トルクの低さも軽く、低フレクションでなかなか使いやすいラチェットなのですが、近年では小判型ヘッドのラチェットでも80ギア以上の物が続々と登場しているので、ギア数だけで言えば今となっては72ギアのラチェットは、それほど多ギアな方ではなくなってしまいました。
それとヘッドの厚みがあり、狭い隙間に入らない可能性があります。
あと、回転方向のガタ・遊びは少ないのですが、上下左右のガタ・遊びが多めです。
使いやすさと強度を兼ね揃えた非常におすすめなラチェットなのですが既に廃盤してしまっているので、入手するには中古品を買うか、たまたま在庫で残っている物を探すしかありません。
ハゼット 72ギア 3/8 ファイントゥースリバーシブルラチェット 8816Fの評価・レビュー・感想
ヘッドの裏側にプレートが付いていて指でヘッドを押さえながら使用しても切り替えスイッチが誤作動しにくくなっているのが8816Fの最大の特徴なのですが、実際に使ってみると重量が新型よりも軽く、空転トルクも低フリクションであり、強度も充分にあるので新型の8816HPよりも使いやすいです。
ハゼットのラチェットと言えば強度が高い分、空転トルクが重くて硬いフィーリングであるイメージが強いですが、8816Fは大きすぎず、重すぎず、それでいて高強度で低フリクションなラチェットです。
なので、指でヘッドを押さえながら使用する時のラチェットとしてだけではなく、普通のラチェットとして使用する分にも非常におすすめです!
「新型の8816HPだと、ちょっと重い」
「新型の8816HPだとゴツすぎる」
「もう少し軽くて使いやすい方が良い」
と感じる方には8816Fの方がおすすめです!
と言っても、既に廃盤してしまっている商品ですので、主にネットオークションやメルカリなどで中古品を探すしかないですが…。